ちびろくとグアムその２　ちびろくの夜

ちびろくとグアムⅡ

二度目の旅立ち	ドキドキヒコーキ
準備編	ちびろくの夜

ちびろくの夜

前回の旅行時は、ちびろくは４ヶ月ｂａｂｙだった。寝返りゴロゴロが、彼の唯一の移動手段。このころは、まだ添い乳の習慣もなかったので、おっぱいで寝かしつけた後、ポイッとベビーベッドに放り込んでおけば、一晩中その中で、静かにお休みになっていた。
現在、ちびろくは８ヶ月ｂａｂｙである。
つかまり立ちと、へっぴり伝い歩きがお得意、夜中に添い乳で３回ほどおっぱいを飲む立派な甘えた坊主に成長した。
「このまえみたいに、そうかんたんにはいかないぜぇ～」
覚悟は一応してきたけどさ。お手柔らかに頼むわね。

今回もベビーベッドをリクエストしていた。うまくいけば、おとなしくここで寝てくれるかもしれない。（←希望）
しかしこの目論見はあっさりと打ち砕かれた。試しにベビーベッドに入れてみたら、その泣くこと。
涙をぼろぼろこぼしながら、柵につかまって立ち上がり、
「こんなとこではゼッタイにねるもんかーッ」
と大声で主張するのだ。
この前は大助かりだったベビーベッドだが、こうなるとただの邪魔者。たちまち荷物置き場と化してしまう。

とりあえず、添い乳もしなくてはならないし、わたしと一緒に寝ることにする。ベッドから落ちるのが怖いので、床にひっぺがしたベッドカバーを敷き、その上で寝てみた。
ちびろくは、かーちゃんと一緒で安心したのかそのまますんなり眠ってくれたが、わたしはちっとも眠れない。硬い床の上なのだから、腰や背中がギシギシ痛いのだ。
眠ったちびろくをこっそり抱き上げ、ベビーベッドに移してみた。しかし、ベビーベッドに置いた途端ちびろくは状況を察知して泣き出してしまう。
「おれ、かーちゃんとねるんだー！ひとりでねるのイヤー！ここキライーッ！ギャ～～～ッッ」
失敗。おまえのカラダには起爆装置でもついているのかッてな感じである。

結局ベッドをひとつ壁際に移動させ、壁側にちびろくを置き、反対側をわたしがガードして寝ることにした。それでもちびろくは夜中に何度も目をさまし、グズグズ言い続けた。落ちるのが怖くて、わたしもゆっくり眠ることができず、目はショボショボ。何とかホカの手を考えないと、わたしのカラダが保たないわ。

次の夜。
ベッドで添い寝にうんざりしたわたしに、夫が提案してくれた。
「このマット、床に置こうか」
ベッドからマット部分を落とし、床に直接マットを置いたのである。
左側はベッドの土台、右側は夫の寝ているベッドでふさぎ、上方は壁にぺったりとつけておけば空いているのは足元だけ。これならば、夫がベッドから落ちてさえこなければ安眠できそうである。
ビバ、夫！ナイスアイディア＆力持ち！（←夫の株は急上昇）

しかし、この方法も問題がないわけではない。
床におろしたベッドマットは、ちびろくがつかまり立つのに絶妙の高さなのだ。つかまり立つだけならばよいのだが、ちびろくはマットの上に這い上がってしまう。また、このマットから、ベッドへの高さが、昇るのにちょうどよい具合なのだ。
床→マット→ベッドの順で昇りつめ、挙げ句ベッドから落ちたら元も子もないではないか。監視の目は、一瞬たりとも離すことができない。
「おれはやるぜ、このくらい、へでもないぜ。のぼっちゃうぜ。まだまだいけるぜ」
それでなくても、ちびろくは泥足で歩く床の上をハイハイしまくり（←諦めて好きにさせていた）、その辺を舐め回している。ホントに、部屋は土足禁止にしてほしい。外国で暮らす赤ちゃんは、一体どこでハイハイしているのかしら。